「Graphics マックス・ビルと暮らす。」その2

こんにちは。
メトロクス・タカハシです。

デザインウィーク間近と言うこともあり、色んな所でデザインイベントの情報を目にす
るようになりました。 メトロクスが開催するアーカイブエキシビジョン
「Graphics マックス・ビルと暮らす。」もその中の1つ。

Casa BRTUSさんPenさん、情報サイトではTABROOMさんOPENERSさん等た
くさんの所でこのエキシビションをご紹介頂いています。丁度、今週が準備の佳境です
が、楽しみにしていらっしゃる方も多いと信じて見応えのあるエキシビジョンにしていき
ますのでお楽しみに!

さて、本日のブログでは開催に先立ってマックス・ビルのヴィンテージポスターの一部を
お見せしていきます。

と、その前にマックス・ビルのグラフィックについてご説明。

マックス・ビル
マックス・ビルのアートのジャンルはコンクリートアートと呼ばれる物。
この単語に聞き覚えがない人も多いでしょう。
コンクリートアートとは、絵画なら色彩と構図、彫刻作品なら輪郭と量塊といった、
形式上の特性のみをテーマとする具体的な美術表現。感情的な表現を一切排し、
客観的な外観と数学的な構成を特徴とする、具象美術(concrete=具象、具体)
のこと。マックス・ビルと同時期のアーティストではジョセフ・アルバースの作品
などが有名です。

なかでもグラフィック作品≪1つのテーマによる15のバリエーション≫は、氏の
芸術の方向性を示した、最も代表的な作品と呼ばれています。

■1つのテーマによる15のバリエーション

1つのテーマによる15のバリエーション

1935年~1938年に手掛けた、氏のコンクリート・アート作品。オリジナルは、
パリの出版社から冊子形式で発表され、タイトルや解説などは全てフランス語
で記述されています。発想の母体となる1つのテーマ(原図)を基に、「連続」
「展開」「発展」のキーワードから15のバリエーションを展開した作品です。
原図とは、正三角形からその一辺によって正方形を描き、同様に「正方形→
正五角形→正六角形→正七角形→正八角形」を構成。それを一つの線で結ん
だスパイラル状の図画です。その形を、氏が定めた造形上のルール(点を打つ順、
線を引く順、その方向など)に従って、図法的なアレンジを加えることで15の
バリエーションが展開されています。

1つのテーマによる15のバリエーションはマックス・ビルが1951年にブラジル、
サンパウロで最も重要な回顧展と自身で語る個展を開催した際にも自分の
作品の創作指針を理解してもらう為にこの作品を順路の一番初めに展示
していました。1つのテーマによる15のバリエーションを通して、観る人に数学と
アートの関係性やそれらをもとに生み出される鮮やかな色彩や配置の法則を
理解してもらうという、ウルム造形大学で教鞭をとっていたマックス・ビルの
教育者としての側面も感じられます。

Deutscher-Anästhesiekongress-1984スケッチ

11×4:4
今回の「Graphics マックス・ビルと暮らす。」でも同じように≪1つのテーマによる
15のバリエーション≫の相関図やアプローチの手法をパネルにまとめ会場に
展示しています。マックス・ビルの意図を理解してもらうことで、具体的な形や
色彩となって完成した作品の背景に隠れた法則や戯れを探す遊びを楽しむ
ことができるでしょう。
ちなみに上の画像はその資料の一部です。

さて、それでは今回の為に海外から買い付けたヴィンテージポスターを紹介しましょう。

■1. Designer’ Saturday

1. Designer' Saturday
このポスターはドイツ、デュッセルドルフにて開催された建築やインテリア、家具の
合同展示会デザイナーズサタデーのポスターです。当時のトレンドを反映し開催
ごとに様々なアーティストがこの展示会のポスターを手掛けています。マックス・ビル
がポスターデザインを手掛けた85年は記念すべき第1回目の開催分です。
サイズ:W595×H842mm
デザイン:1985年
印刷:シルクスクリーン印刷
価格:¥28,080(税込)※フレーム込

■Look at

Look at
ドイツ、ミュンヘンのギャラリー・トーマスにて1972年に開催されたマックス・ビル
の個展「Look at」のポスター。 シルクスクリーン特有のぺっとりと乗ったインク
の色彩が魅力的です。

Look at 2
ウルムスツールと一緒に写真を撮ってみました。

サイズ:W670×H900mm
デザイン:1972年
印刷:シルクスクリーン印刷
価格:¥38,016(税込)※フレーム込

■L’ESPRIT NOUVEAU-Le Corbusier und die Industrie 1920-1925
L'ESPRIT NOUVEAU-Le Corbusier und die Industrie 1920-1925
これは迫力満点です!なんと今回のエキシビションで最大サイズです。
1987年にチューリッヒ造形美術館で開催されたル・コルビュジエの展示会。
ポスターのデザインをマックス・ビルが手掛けました。

L'ESPRIT NOUVEAU-Le Corbusier und die Industrie 1920-1925 2
アイアーマンテーブルの天板と同じくらいのサイズです。
ここまで大きなマックス・ビルのポスターはなかなか見つかりませんよ。
サイズ:W900×H1280mm
デザイン:1987年
印刷:シルクスクリーン印刷
価格:¥37,800(税込)※フレーム込

今回のポスターは一部を除き1点ずつの入荷の物が中心です。
価格は¥20,520~¥47,412となっています。
ポスターは一人でも多くの方にご覧頂けるよう、会期終了後のお引渡しと
なりますのでご了承ください。

他にまだまだ残っていますがそれらは是非とも店頭で見て頂きたいですね。
写真では伝わらない迫力が待っていると思いますよ!

また、10月24日(金)は設営の為、臨時休業とさせて頂きます。
お客様にはご迷惑をお掛けいたしますがご理解下さい。

最後に、ラグ「color-whee」のもとになったオリジナルのリトグラフ作品を、
期間中は特別に展示します。 こちらも必見です。
オリジナルリトグラフ

tokyo@metrocs.jp|TEL 03-5777-5866