アノニマスな名作?渡辺力氏の時計

こんにちは、メトロクス・タカハシです。

今日は渡辺力さんと時計のデザインについてちょっとお話を。

メトロクスでは、国内外のデザイン文化を牽引してきたデザイナーの作品を多く扱ってきましたが、その中でも渡辺力さんほど日常に溶け込んだ仕事を残しているデザイナーは少ないかもしれません。

渡辺力のデザインを思い浮かべてくださいというと時計のデザインが
浮かぶ人も多いのではないでしょうか?

代表作として挙げられるリキクロック

2004年グッドデザイン賞受賞。タンバリンの枠と同じ構造のプライウッドを採用した木製フレーム、シンプルかつオーソドックスなデザインで人気ナンバー1の定番クロック。

力さんが最も愛する金属で作られた銅の時計

渡辺力氏の百歳を記念して、氏の最も愛する金属である純銅のフレームで製品化。 赤銅色の澄んだ美しさが魅力。

イームズ夫妻に送られたアルミニウムクロック

20世紀のプロダクトデザインに大きな影響を与えたイームズ夫妻と親交の厚かった渡辺力氏が、1978年に夫妻に贈呈したウォールクロック。

他にも多くのデザインを手掛けていますが、詳しくはメトロクスの特集ページ「ジャパニーズデザインのパイオニア 渡辺力」をご覧ください。

話を戻すと共通するのはどれもシンプルでありながらかつ美しい佇まいのデザインだということ。
そもそも力さんが文字盤のデザインを手掛ける際に重要視していたことが「機能美」です。
人々の活動の軸となる重要な概念である時間をより見やすく情報を伝えることに重点を置き、
コンマ数ミリ単位でのデザインの調整を行われてきました。

力さんのデザインであることが明白な時計も多いですが、70年代以降に精力的にデザインしてきた公園や駅前で見かけるパブリッククロックも多く手掛けており日常の中で何気に毎日、力さんの時計を見ているという方も少なくないかもしれません。

アノニマスな名作と言えるRIKI PUBLIC CLOCK

公園や駅前で見かける公共空間の時計に使われている文字盤デザインの多くが力さんの仕事であることはあまり知られていません。親しみやすさを重視したアラビア数字タイプから環境に合わせて使える記号的表現の文字盤まで多くのバリエーションのデザインを手掛けられてこられました。

今回、その中から新たにパブリックのアイコンと言えるデザインのモデルが追加となりました。

皆さんの生活圏の中にこのパブリッククロックのデザインがあったらちょっと嬉しくなりますね。

こういった時計は年代を経て徐々に入れ替わっていくものです。
もしかすると、10年後20年後にはなかなか見ることができない時計になっているかもしれません。

視点をちょっと変えて、近くに力さんのアノニマスな名作が使われていないか
確かめてみるのも面白いかもしれませんよ。

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