渡辺力さん「ロープチェア」が復刻

みなさん、こんにちは。メトロクス:タニです。
渡辺力さんの名作「ヒモイス」が「ロープチェア」として復刻されました。
メトロクスでも取り扱いを開始します。
ヒモイス 渡辺力
新しく作られた「ロープチェア」。詳しくはWEBをご覧ください。
今日のブログは新商品の話ではありません。
実はメトロクスの店頭にはオリジナルの「ヒモイス」があります。
これは本当に美術館クラスの、日本を代表する椅子と言っても過言ではありません。
今回復刻された「ロープチェア」はオリジナルより強度が増し、また外観も美しくなるよう
進化しています。そこを今日はご紹介したいと思います。
ヒモイス オリジナル 渡辺力
メトロクスにあるオリジナルの「ヒモイス」です。数年前にアンティークショップからやってきました。
ところどころ補修をされているようなのですが、しっかりとした状態です。

1952年に横山工業から発表されています。
そもそもは、物資の少なかった戦後、日本の住生活に馴染むように、また物資が少ない中、
容易に手に入る資材を使い、なおかつローコストであることを第一にデザインされました。
低いシートハイ(30cm)は畳の上での生活を考えての高さ。
フレームには当時手に入りやすかったナラ材が使われています。
布を椅子に張り込むとコストが掛かる。そこで日本の住宅であればどの家庭にでもあった、
座布団をのせて使う、ということを考えたそうです。
そのクッションを支える構造には丈夫で伸縮性のあるロープが用いられています。
そういった必然的な状況からこの椅子は生まれたと言えるんですね。

ヒモイス 側面 結び目
結び目がフレームの外側に出ていますが、復刻されたものは内側に
くるように調整をされているようです。確かに、横に渡された紐の本数を見ると、
画像のオリジナルは5本、復刻品は8本。紐を通す穴の数も変わっていますね。
ヒモイス 座面 ロープ
縦紐の数もオリジナルは13本、復刻品は15本です。
素材もオリジナルは綿ですが、復刻品はクレモナロープという、
ビニロンとポリエステルの混紡糸に変更。強度を増しています。

ヒモイス 座面下 結び目 渡辺力

ヒモイス 背面 結び目 渡辺力

新しくなった「ロープチェア」。オプションで背・座クッションを付けることもできます。
ロープチェア 座クッション付き 渡辺力
101台限定生産で、シリアルナンバープレートがついているプレミアムチェアです。
以前から探されていた方も多いようです。ヴィンテージでもなかなか
出てくることもないでしょう。是非ご検討ください!

最後のとっておき。渡辺力さんの「素描」から。
渡辺力 素描 表紙
渡辺力 素描 ヒモイス 
「ヒモイス」が掲載されています。
渡辺力 素描 ヒモイス 図面 
「ヒモイス」の図面も掲載が。
そこにある力さんのコメントを引用させて頂きます。

「私にとって公認された処女作。戦後の貧しい生活環境からのローコストチェア。
座と背のクッションは、座布団を使うこと、低い座位は、畳の上でのことも考えた。
シェーカーは18世紀の終わり頃、ベッドのクッション材としてロープを使っていたことを
1970年代に初めて知った。」
~株式会社建築家会館 素描・渡辺 力 より~

先日のクラフトブログでもご紹介した、シェーカー家具。力さんもこの書籍でそのことについて
書かれていて、また別のところでもそこから受けた影響の事について書かれているのを
読んだことがあります。
店頭に展示してありますので、是非ご一読ください。とても勉強になります。

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