「エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」レポート

アーティゾン美術館で開催されている「エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」に行ってきました。

こんにちは、メトロクス・フクオカです。

6/23(火)からアーティゾン美術館で開催されている「エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」に行ってきました。

エットレ・ソットサスのプロダクトはメトロクスでも長年取り扱ってきたため、私たちスタッフにとっても非常に馴染み深い巨匠デザイナーのひとりです。

オリベッティ社のタイプライターたち。ヴァレンタイン、レッテラ、スンマ
オリベッティ社のタイプライターたち

しかし今回の展覧会は、普段ショップで販売アイテムとしてご紹介する機会の少ない、数メートル級のトーテムや大型家具、ガラスの花器をはじめとするアートピースなど、日本ではもちろん、海外でもこれほどまとまって目にする機会の少ない貴重な作品が一堂に会しており、とにかく圧倒される見応えのある展示でした。

エットレ・ソットサスによるガラスの作品
ガラス作品の豊富なバリエーションに圧倒
エットレ・ソットサスによるガラスの作品

空間を支配する巨大な「トーテム」と「メタファー」

展覧会のキービジュアルにもなっているトーテム「オダリスク」は高さ2mを超える大作ですが、隣に並ぶ「トーテム No.1」「トーテム No.2」はさらに大きく、約2.8mもの高さがあります。その圧倒的な存在感と鮮やかなボリュームには思わず足が止まりました。

オダリスクとトーテム。アーティゾン美術館「エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」
陶器のトーテムシリーズ、一番右がオダリスク

特に巨大な2つの作品については、「一体どこが製造しているのだろう?」と気になってキャプションを覗き込んでみたところ、やはり「ビトッシ(BITOSSI)」の名が。
50cm以内の小ぶりな陶器であれば、メトロクスでビトッシ社の現行品(ソットサスデザイン)を取り扱っているので、ご家庭用のサイズ感でお探しの場合にはぜひそちらをチェックしてみてください。

また、奥に見えるモノクロの写真たちは「メタファー」という連作です。
1970年代、芸術家のエウラリア・グラウとともにデザインを巡る放浪旅に出たソットサスは、ピレネーの山々の厳しい自然に触れあいながら、無数の空想的なドローイングを残しました。それらを木や石、ロープなどを使って実際にその場で再現し、写真に撮影していったものがこの作品群です。
大自然の中でインスタレーションを実践していくうちに、いろいろな思考を巡らせていったソットサスの脳内や、純粋な空想に触れることができる非常に興味深い内容でした。どうやらミラノに戻ってからも、この活動は続けていたようです。

美術館だからこそ体感できる、2m超えの大型家具たち

家具のジャンルにおいても、2mを超える大型のプロダクトが数多く展示されていました。少し紹介していきます。

ポルトロノーヴァ社のキャビネットシリーズ
ポルトロノーヴァ社のキャビネットシリーズ
エットレ・ソットサスによる巨大なキャビネット
ギャラリー・モーマンス製作の2m超えのキャビネット。素材の扱い方がすごい
エットレ・ソットサスの代表作、Memphisのカールトンたち
スタジオ・アルキミアによるダイニングチェア、メンフィスのカールトンとカサブランカ

日本国内で流通しているソットサスの製品は比較的コンパクトなものが中心のため、このような規格外のスケールの作品を間近で、360度さまざまな角度から体感できるのは、まさに美術館ならではの贅沢な魅力だと感じます。

手に入るソットサスプロダクト

名作として名高い「カールトン」や「カサブランカ」などはメトロクスでもご購入いただけますが、日本国内ではなかなか実物を目にする機会が少ないアイテムです。
私自身も、カールトンの実物をこれほど間近で見るのは、以前ミラノの空港ロビーで見かけて以来のことでした。今回の展示では、素材の組み合わせ方やエッジの処理など、写真だけでは伝わらないディテールまでじっくりと観察することができ、ものすごく刺激を受けて帰ってきました。

展示内容としては、ここまでお伝えしてきたように大型のアートピースやプロダクトが中心となっています。そのため、かつてオリベッティ社が手掛けていたオフィス家具など、一般の家庭でも取り入れやすいサイズ感で人気の高い実用的なシリーズは、今回の展示では見られませんでした。

しかし、メトロクスでは長年、オリベッティ社のヴィンテージアイテムを数多く取り扱っており、私たちの得意分野のひとつでもあります。

実は近々、ショップの方でも販売用のオリベッティ社のアイテムをご用意できる予定です。名作タイプライター「ヴァレンタイン」や、当時の貴重なポスターなども準備中ですので、ぜひ楽しみにお待ちください!

アーティゾン美術館の雰囲気と、おすすめのまわり方

今回足を運んだ「アーティゾン美術館」は、東京駅から徒歩数分とアクセスが非常に良く、館内も洗練されたモダンな空間でとても居心地が良い美術館です。

平日の夕方に訪れたため、比較的混雑も緩やかで、ソットサスの巨大な作品たちと静かにじっくり向き合うことができました。土日祝日は混雑が予想されますので、ゆっくり写真を撮ったり鑑賞したりしたい方は、平日の時間帯を狙っていくのがおすすめです。なお、入場はWEB予約による日時指定制となっています。事前にチケットを購入しておくとスムーズに入館できるので、これから行かれる方は予約をお忘れなく。

アーティゾン美術館で開催されている「エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」、平日限定チケットについてくるステッカー!

ちなみに、平日限定のチケットを取ったら、トーテムのステッカーがもらえました!
このチケットであれば日時指定は不要。
なおかつ通常チケットと同額なので、確実に平日に行かれる方はこのチケットがお得ですよ。
平日限定チケットはART PASSから購入できます。

私たちが長年オフィスやショップで扱ってきたソットサスのプロダクトですが、今回こうして美術館の大きな空間でアートピースとして並ぶ姿を見ると、改めて彼のデザインが持つ「魔法」のようなパワーと、戦後の合理主義に対抗しようとした自由なエネルギーを実感します。
ショップに戻っていつもの製品を見る目も、少し変わりそうです。

みなさんもぜひ、ソットサスが仕掛けた「魔法」を体感しに、アーティゾン美術館へ足を運んでみてください。

おまけ

これはイタリアのトリエンナーレデザイン美術館に行ったときに買ったマグネット(ヴァレンタイン&カールトン)と、ドイツのvitraデザインミュージアムに行った同僚がお土産で買ってきてくれたマグネット(カールトン)。

ソットサスのプロダクトはアイコン的なパワーがあるので、こういうグッズになるととてもわくわくします。

アーティゾン美術館でもグッズが展開されていたので、ぜひチェックしてみてください。私はポーチとステッカーをゲットしました!

エットレ・ソットサス

エットレ・ソットサス
Ettore Sottsass / 1917~2007

オーストリア、インスブルグ生まれ。トリノ工科大学卒業。1958年にオリベッティ社のデザインコンサルタントに就任。手がけたプロダクトはコンパッソ・ドーロ賞を受賞するなど工業デザイン分野で名声を博しました。1960年代末からはラディカルデザイン運動に傾倒し、1981年に「メンフィス」を結成。ポストモダンの潮流を率いた名士として広く知られています。

展覧会情報

エットレ・ソットサス ─魔法がはじまるとき、デザインは生まれる
会場:アーティゾン美術館
会期:2026年6月23日[火] – 10月4日[日]
アーティゾン美術館公式サイト

エットレ・ソットサス (1917~2007)は、20世紀イタリアデザインを代表する巨匠です。オリベッティ社やポルトロノーヴァ社で数々の優れたデザインを生み出し、1981年にはデザイナー集団「メンフィス」を結成。しばしばアヴァンギャルドやポストモダンと評される革新的なデザインで注目を集めました。

戦後の行き過ぎた合理主義に疑問を抱いたソットサスは、自由で豊かな感性を重視し、ユーモアあふれる作品で人々の生活を明るく彩ろうとしました。

石橋財団は近年、ソットサスの作品を100点以上収集。本展はその全貌を紹介する日本初の回顧展であり、当館初のデザイン展です。

tokyo@metrocs.jp|TEL 03-5777-5866