デザインを具現化した職人技
こんにちは、メトロクス・フクオカです。この度、剣持勇(剣持デザイン研究所)による名作家具の取り扱いを拡充しました。
Gマーク(グッドデザイン賞)を語る上では避けることのできない、日本そして世界を代表するプロダクトデザイナー 剣持勇。
インテリアの部門では、1964年に日本の家具として初めてMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選定されたラタンチェアやスタッキングスツールなど、誰もが目にしたことのある名作をたくさん生み出した剣持。
今でも手に取れる身近なものでは、乳酸菌飲料「ヤクルト」のあのボトルデザイン。独特なフォルムのポリスチレン容器は、発売当初の60年代ではセンセーショナルな存在でした。
1958年に銀座・松屋で開かれた「アパート生活展」に出品。都市生活向けの家具として、省スペースとコストダウンを目指して作られた「スツール No.202」。
曲木を使ったこのスツールは当時の一般的なスツールよりも割高でありながらも爆発的に売れました。
とても合理的に作られており、現代においては控えめな価格。張地も好きなカラーから選ぶことができます。
ラタン張りのモデルや同シリーズのサイドテーブルも発売され、現代までベストセラーになっています。
100年以上の歴史を持つ日本で唯一の曲木専門工房「秋田木工」の熟練の職人が精巧に仕上げたメイド・イン・ジャパン。
曲木とは圧力を受けて変形すると元に戻らない、木の性質を利用した加工技術。
直材だけだった家具製造の制限と比較すると、デザイナーに格段の自由を与えました。
曲木の技術とそのクオリティが剣持のデザインを具現化していると言えます。
今回拡充した「秋田木工」のラインナップの中で、個人的に特に目を見張る製品をご紹介します。
1960年の剣持デザインです。当時はアームチェアや安楽椅子という名で親しまれました。
ウィンザー様式の中国明時代の椅子をモダナイズしたチェアで、世界的に高い評価を得ています。
背もたれとアームのこのアーチを見てください。1本の材料を立体的に曲げて作られていると理解しながらも、こんな設計に忠実に曲げることができるのだろうかという驚きが勝ってしまうほど。
このデザインを再現すると10脚製作すれば3脚失敗するといわれるほど、職人泣かせの椅子だそう。
無垢材をひねりあげる立体的な曲木を専門とするのは秋田木工以外どこにもありません。
前述のとおり、曲げ木における最高峰の技術をなくしては生まれなかったデザインではないでしょうか?
このブラックの塗装は当時のデザインのままです。
1964年にはグッドデザイン賞を受賞。
座面の高さは38cmと低めで、日本人に合わせた設計になっています。
はい、この先端も全部曲木です。大胆にデザインされたS字型のフックは、職人が手のひらで感触を確かめながら丁寧に削り込み、曲木の技術を用いて再現。エレガントな佇まいに溜息が出ます。
曲木の要素はありませんが、日常使いにぴったりのハンガーラックも多数追加になりました。折りたたみができ、コンパクトな設計、革調のベルトがアクセントになっています。
世紀を越えて愛される、剣持勇×秋田木工の「曲木家具」。
軽量にもかかわらず、堅牢で丈夫、そして比類なき美しいフォルム。
曲木家具は、生活に密着した機能性や実用性、そしてその美しさで、不朽のスタイルとしてその存在感を示し続けています。
何十年も使い続けることのできる名作、ぜひご検討ください。