アルネ・ヤコブセンの名作「シリンダライン」誕生秘話
こんにちは、メトロクス・タカダです。
本日は、1967年の誕生から半世紀以上の時を経た現在に至るまで、ロングセラーを続けているステルトン社の「シリンダライン」シリーズ。メトロクスでは、流通の事情により、一時的に取り扱いを停止しておりましたが、この度、再開する運びとなりました。
ステルトン社の「シリンダライン」といえば、言わずと知れた名作、憧れのプロダクトの一つですね。今回は、そんな名作のちょっとした誕生秘話をご紹介いたします。
1964年に、ステルトン社の社長に就任したPeter Holmblad(ピーター・ホルムブラッド)が「新たなデザインなしにステルトン社は残れない」と考え、義父であるArne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)にデザインを依頼したことが「シリンダライン」の出発点となります。
当時、多忙だったヤコブセンは、はじめこの依頼を断っていました。しかし、諦めきれないホルムブラッドは、ステンレスの加工技術を生かした、自身のアイデアを元に描いたスケッチを手に、ヤコブセンにコメントを求めて尋ねました。幾度となく訪ねてくるホルムブラッドに業を煮やしたヤコブセンは「デザインとはこういうものだ」と、夕食時、手元にあったナプキンにその場でスケッチを描き直しました。そして、そのデザインが現在の「シリンダライン」の原型となりました。
その後、ステルトン社は、ヤコブセンが描いた継ぎ目のない美しいフォルムを実現するために、さまざまな試行錯誤を経て独自のステンレス加工の技術を開発。当初、半年程度と見込んでいた開発期間に3年もの時間を費やし、1967年、ついに「シリンダライン」として発売に至りました。
クラシックで凛とした美しい佇まいに機能性を兼ね備えた「シリンダライン」は、発売から半世紀以上経った現在も、ステルトン社を象徴する存在であり、北欧デザインのアイコンとして、世代を超えて受け継がれる名作となっています。
1967年にデンマーク工業デザイン学会によるID賞、1968年には米国インテリアデザイナー協会による国際デザイン賞など、世界中で数々の賞を受賞しています。